デザイナーズマンションなど個性的な賃貸物件も増えてきましたが、まだまだ日本の賃貸住宅は白い壁にカーペットやフローリングの床といったシンプルな内装が主流です。
さらに、「壁に穴を開けてはいけない」「釘を打てない」など、リフォームやDIYに対する制限も多く、古いマンションでさえ入居者が自由に手を加えることは難しいのが現状です。
一方、私が20年前にロンドンで暮らしていたときのこと。現地では築100年以上の古い建物も珍しくなく、そうした家を借りて暮らす人たちは、自分たちで棚を付けたり、壁や柱をペンキで塗ったりと、部屋づくりを楽しんでいました。
アーティストの友人たちは、壁一面に絵を描いたり、なんと床下を掘って半畳ほどの地下室を作った人まで!
「賃貸でもここまで自由にできるの?」と、日本との違いにとても驚いたのを覚えています。
最近の日本でも、DIYを楽しむ人が増えています。なかには、木造アパートや古い民家を自分たちで丸ごとリフォームする人までいて、DIYはちょっとしたブームにもなっています。
高額な費用をかけなくても、アイディアと工夫次第で部屋の雰囲気をガラリと変えることができるのです。
賃貸のお部屋が大変身!
実際、私の友人もDIYで賃貸の部屋をまるでパリのアパルトマンの1室のような雰囲気に変身させました。
彼女は以前、パリにも住んでいたことがあり、そのときに触れたフランスのインテリアのエッセンスをうまく取り入れています。
今回は、そんな素敵なリフォーム事例をご紹介します。
彼女の住まいも賃貸のため、ペンキを塗ったり釘を打ったりといった大がかりなリフォームはできません。退去時には「原状回復」することが条件なので、部屋を傷つけない範囲で工夫を凝らしています。
例えば、クローゼットの扉には簡単に貼れてきれいにはがせる「ウォールステッカー」を使用。ぱっと見では本物の本棚のように見え、空間に奥行きと遊び心が加わりました。
殺風景だったエントランスには、黒い窓枠にブルーのマスキングテープを張ることで一気にヨーロッパの木製窓枠のようなおしゃれな印象に。
バラや草花の鉢植えをたくさん置いてエントランスも素敵にデコレイトしています。
何の変哲もなかった白い壁とフローリングの床の部屋が、ここまで素敵に変身するとはびっくりです!
DIY可能な賃貸が増える?
最近では、新築物件が続々と建設される一方で、駅から遠い・築年数が古いなどの理由で入居者が集まりにくい賃貸物件も少なくありません。
そんな物件の空室対策として注目されているのが、「DIY可賃貸」と呼ばれるスタイルです。
これは、入居者自身が壁や床などを自由にリフォームできる賃貸のことで、実際に古いマンションや戸建ての一部では導入が進んでいます。
家主はリフォーム費用をかけずに貸し出せるため、その分家賃を抑えられるというメリットがあります。
入居者にとっても、自分好みにアレンジできる自由度の高さが魅力。壁を好きな色に塗ったり、棚を取り付けたり、畳をフローリングに変えたりと、住まいづくりの夢が広がります。
DIYが好きな人はもちろん、家賃を抑えたい若者や、建築・アート関係など個性を表現したい人たちにも人気があり、部屋そのものが“作品”や“展示スペース”になることも。
もちろん、構造部分まで手を加えることはできませんし、「原状回復」が前提となるケースがほとんどです。ですが、物件によっては「壁のペンキOK」「棚の取り付け可」など、ある程度の自由が認められている場合もあります。
古い賃貸を見つけたら、思い切って大家さんに「DIYしてもいいですか?」と聞いてみるのもひとつの手。意外とOKが出ることもあるかもしれません。
原状回復OK!ちょっとした工夫で賃貸をもっと快適に
「DIY可物件でなくても、自分の部屋を快適にしたい」――そんな方にもできるアイディアはたくさんあります。原状回復を前提にしたDIYなら、手軽に模様替えを楽しめるのも魅力です。
最近では、100均やホームセンター、ネットショップでも賃貸向けの便利グッズが充実しています。
お金をかけずに、ちょっとした工夫で部屋の印象を大きく変えることができますよ。
たとえば、次のようなアイテムが人気です。
白い壁をレンガ風、木目調、北欧柄などに変えることができます。
床に敷くだけで、テラコッタ風や大理石調、木目風の床に早変わり。
古い収納扉も、シート1枚でナチュラルな印象に。
壁や扉にアクセントを加えるだけで雰囲気が変わります。
釘が打てない部屋でも、アジャスターを使って柱を立てて壁や棚を作ることができます。
■お部屋の空きスペースが収納場所に!DIYパーツブランド「LABRICO」
さまざまな賃貸用のDIYグッズがインターネットで購入できるので、模様替えをしたい人はチャレンジしてみてはいかがでしょう。
どうしても壁にペンキを塗りたいという人は、「貼ってはがせるペンキ下地用シート」を活用するのも一つの方法です。
このようなアイテムを上手に使えば、原状回復も可能で安心。DIY初心者でも失敗しにくいのがうれしいですね。
ちょっとした工夫で インテリアをおしゃれにアップデートするためのアイディアはこちらから⇩
■家具付き賃貸でもおしゃれに!インテリアコーディネート術5選
賃貸DIYグッズはどこで買える?ネットで買えるおすすめショップ
「賃貸向けのDIYアイテムって、どこで手に入るの?」という方のために、初心者でも使いやすい商品がそろう通販ショップをいくつかご紹介します。
気軽に模様替えを楽しめる壁紙シートやフロアマット、棚を作るためのパーツなど、賃貸DIYにぴったりのグッズが手に入ります。
● DIY FACTORY
工具からインテリアまで幅広くそろう本格派。初心者向けキットも豊富です。
https://shop.diyfactory.jp/landing/top/
● カインズ(CAINZ)
店舗でもおなじみのカインズ。シート類やDIY初心者向け商品が多く揃っています。
http://www.cainz.com/shop/pages/diy.aspx
● DIYショップRESTA
壁紙・床材・リメイクシートの専門店。賃貸対応の商品も充実。
https://www.diy-shop.jp/
● 北欧、暮らしの道具店
インテリア雑貨が豊富。シンプルでセンスの良い商品がそろっています。
https://hokuohkurashi.com/
● 壁紙屋本舗(楽天)
壁紙やフロアシートの品ぞろえが圧倒的。レビューも豊富で安心です。
https://www.rakuten.ne.jp/gold/kabegamiyahonpo/
賃貸でもあきらめない、自分らしい部屋づくり
「賃貸だから」とインテリアをあきらめていた方も、今はDIYで工夫できる時代です。原状回復ができるアイテムを上手に使えば、壁や床も思いのままに模様替えが可能。
また、「DIY可賃貸」なら、より自由に自分好みの空間を作ることができます。
日々を過ごす空間だからこそ、自分らしく居心地の良い部屋にしたいですね。まずは気軽なところから、あなたらしい賃貸インテリアを楽しんでみてはいかがでしょうか?
(文・撮影:松尾まみ)